【ドイツの出産事情】ブランデンブルグ州でお産に立ち会った時の体験談

   

彫刻家の大黒貴之です。

今回はドイツで我が子の出産に立ち会った時のお話です。
何もかもが初めての体験でしたが、それはとても貴く神秘的な時間でした。

・・・・・

「旦那さん!何をしてるんですか!?
さぁ、奥さんの頭の上に座ってあげて!」

ここは娘が生まれる直前、
ラーテノウ病院の分娩室。

オロオロしていたぼくを見かねて
ドイツ人女性の助産師さんが激を飛ばします。

その声を聞いてから、どのくらい時間が経ったか憶えていません。

大きな泣き声と共に誕生した、小さな娘の姿が見えました。

「よく頑張ったわね。はい、あなたたちの赤ちゃんよ」

生まれてきたばかりの小さな命を
助産師さんが妻の胸の上に手渡します。

その直後、感涙しているぼくに彼女が一言。

「じゃあ、お父さんが赤ちゃんに最初にしてあげる
大切な仕事が2つあるから、それをやってあげて」

Photo via Visualhunt.com

 

生まれてきた赤ちゃんに、父親が最初にしてあげる2つのことって?

「えっ?」と思った瞬間、

「はいっ」と手にハサミを渡されました。

「奥さんと赤ちゃんにつながっているへその緒を切ってあげて」

「えっ?えっ、えぇぇ~!!!」と心の中で絶叫しながら、
ハサミを持って立っている自分がいました。

一瞬立ちすくみましたが、
すぐに腹を決めて切断することに。

初めて、生のへその緒を見たのですが、
直径2センチくらいでしょうか、
まるで腸詰された白いソーセージのようでした。

「ジョキッ、ジョキッ、ジョキッ」という音が3回。
何とも言えない感触が今でも手に残っています。

中は緑色の詰め物が入っているようでした。

「はい、じゃあ、今度は赤ちゃんの羊水を洗ってあげてくださいね」

もう必死でただ言われるがままに行動しました。

分娩室の洗面台にお湯が溜められて
助産師さんと一緒にジャブジャブと娘についている
羊水を洗い流していきます。

水分が綺麗に拭き取られて、また違う台へ移動。

「手の指は・・・、1、2、3・・・・、はい、大丈夫ね」

「足の指は・・・、1、2、3・・・・、はい、10本あるわね」

最後に娘の足の裏に緑の水性インクが塗られて
出産資料の用紙にペタッとスタンプされました。

実は、最初出産に立ち会う勇気がなかったのですが、
人口約3万のラーテノウ市に当時住んでいた
日本人は3人で、そのうちの2人がぼくと妻。

立ち会わないわけにはいきません。

自分を勇めて立ち会った出産でしたが
今振り返ってみると本当に本当に
大切な時間だったと感じています。

「へその緒を切ってあげて」

切ったときの感触と音、羊水を洗い流す光景。

隣には大きな事を成し遂げてくれた妻の姿がありました。

時計の針は夜中の2時を回っていました。

外はマイナス10度のドイツの冬。

ただただシンシンと雪が降り続いていました。

娘が誕生した、あの刹那、
ぼくの中では永遠の時としてあり続けています。

Author by gross-schwarz

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