【ドローイング/素描】特定のスケッチではなく、作品の本質的特徴を表すもの

   

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

ドローイング Fold drawing red-green (04-2017), 2017, 53.7×38cm, 紙にアクリル絵具と鉛筆

ドローイングは、日本語で「素描(そびょう)」という

鉛筆や色鉛筆、インク、絵具などが使われることが多いです。

ぼくは鉛筆で描くことが多いですが、絵具も取り入れています。
日本の美大や芸大受験時には「デッサン」課題が出題されます。
鉛筆や木炭などを使って、静物画や石膏像、人物、動植物などが出題されます。

デッサンは観察力を鍛えるため、
そして、鉛筆でそれを表現するための
”筋トレ”のようなものだと思います。

観察すると普段見えていないものが
どんどん観えてきます。
ですから、大学受験のときに体験した
デッサンの時間は今にも活きていると感じています。

観察することは、絵を描くだけでなく、
社会や人を観る目を養うことにも
つながっていると思うからです。

また、スケッチというのは、
習作、または図面のようなものだと考えています。

ぼくのドローイングは、デッサンやスケッチではなく、
「彫刻が現前する、前兆、もしくは予兆のようなもの」です。

ドイツの場合は、先のようなデッサン課題はないようで、
大学の教授に直接自分のポートフォリオなどを持って
プレゼンをし、教授がOKを出したら、その人に師事をするという具合です。

ぼくは自身のギャラリストであるセミヨンさんに
ドローイングの重要性を示唆されました。
因みに、彼は、作家として活躍してきた人で、
戦後ドイツ、現代アートの旗手で
新表現主義の作家としても名高い彫刻家
ゲオルク・バゼリッツの一期生です。

「ヨーロッパでは彫刻家がドローイングを
描くことは伝統的であり、かつ、
ドローイングを主に蒐集するコレクターもいるんだ」

「スランプに陥ったときには
特にドローイングをするのが良い。
自分がまだ発見できていない
新しい領域を見つける手がかりになるんだよ」と。

「線を描く」と言っても、
それがなかなか難しいものです。

ただ線を描くのではなく、
「自分の線で描く」ことが大事だからです。

自分の線を発見するには、
やはり何枚も何枚も描いて
自分で見つけていくしかありません。

言うなら、数稽古が必要なのだと思います。

セミヨンさんは
「ドローイングは特定の彫刻作品を
そのまま描くわけではなく、
作品の本質的特徴を表わしている」と論じています。

ドローイングは、シンプルがゆえに奥が深いものです。

Alles Gute! (アレス・グーテ!)

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