シリーズ ドローイングって何だ?④ ドイツで初めて持ったの仕事場のこと

   

彫刻家の大黒貴之です。

「ドローイングってなんだ?」シリーズの4回目です。

ドローイングについては
過去記事でも触れていますので、是非ご参考ください。

関連記事:ドローイングって何ですか?
関連記事:ドローイングはスケッチではなく「前兆」或いは「予兆」である

ぼくが考えるドローイングは
作品制作のためのスケッチとかデッサンのことではなく
作品が現前するずっと以前にある「予兆」もしくは「前兆」のことです。

・・・・・・・・・・・・・・

ドイツに渡ってから1年半が過ぎた2012年の夏頃、
フリーザックという人口2000人くらいの小さな街で
ようやく仕事場を持つことができました。

それまでは、自宅でひたすらドローイングや小さな彫刻、
タブローを手掛けていました。

ヴァーゲニッツという村で野外彫刻展の話を
ブランデンブルグ州ラーテノウ市からいただき、
そのための仕事場を提供してくださったのです。

自宅があるラーテノウ市が車で25分くらいの場所です。
距離にすると往復で約60km。
その間を毎日のように通い始めることになりました。

本当に幸運なことでした。
ドイツ・フリーザックの最初の仕事場。

「これでようやくドイツでも大きな彫刻作品をつくることができるぞ」
ととても興奮したのを覚えています。

この仕事場でもドローイングを引き続き描いていました。

「無題 (SC 01-2013 qu)」 O.T. (SC 01-2013 qu) 2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆 Graphit auf Papier 「O.T.-無題- (SC 01-2013 qu)」,2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆

 

「無題 (SC 09-2013)」 O.T. (SC 09-2013) 2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆 Graphit auf Papier 

「O.T.  -無題- (SC 09-2013)」, 2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆

 

「無題 (SC 05-2013)」 O.T. (SC 05-2013) 2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆 Graphit auf Papier 

「O.T.-無題- (SC 05-2013)」,2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆

 

「O.T.-無題- (SC 02-2013)」,2013, 29,7 x 21 cm, 紙に鉛筆

夏から秋にかけては、カラッとしたドイツ特有の夏の気候と
日照時間の長い毎日が続き、とても心地よく仕事ができるのですが、
冬になると寒く暗い期間が訪れるのです。


奥に見える表面が剥がれている壁の雰囲気が結構気に入っていました。

この場所はフリーザック市の公共場所(歩道やベンチ、公園など)を
管理している整備課の現場事務所の一角でした。

ぼくがここで仕事を始めることを地元新聞社の記者がそのことを聞きつけ
「日本人が納屋の一角で芸術作品をつくる」という記事が掲載されました。

ドイツで初めての新聞記事でした。

現場事務所のドイツ人のおじさんたちが
たまにぼくのところにやってきて
「おい、今日は何つくってんだい?」
などとよく世間話をしたものです。

そんな交流も踏まえながら
このガランとした空間は少しずつ
ドローイングや彫刻作品で埋まっていきました。

上に載せたドローイングは
2013年にベルリンのセミヨン・コンテンポラリーで行われた
個展「renmen/連綿」に展示されることになります。

関連記事:ドローイングって何だ?2016年に描いたドローイングをピックアップしますよ!

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