酷評する人がいるということは、熱烈に支持をしてくれる人も必ずいる。あと、ドローイングのこと

      2016/11/15

彫刻家の大黒貴之です。

よく理解ができない酷評されたことは
早く忘れればいいのに、
始末の悪いことに、なぜかいつまでも覚えているものです。

2000年に、大阪のGalerie Ou(ガレリィ ウー)
という貸画廊で初個展をしました。

部屋の片隅で一人、椅子に座り、
ひたすらじっと一時間に一人来るかどうかの来客を待っていました。

ある日、確か神戸大学の先生(後から聞いた話)が来て
彼が作品の批評をした後、僕が「作品集も見てください」
と言って、自作のポートフォリオを見せました。

見ているのかどうかわからないくらいの速さで
ペラペラ、ページをめくり
最後に鼻でフンッと笑ったあと、「
今回の作品は失敗だね」と言い残して帰って行ったのを覚えています。

僕は彼がいったい何をしたかったのかよくわかりませんでしたし、
無性に腹が立った感覚だけが今も残っています。

今頃、あの人は何をしているのだろうと
別にどうでもいいのですが思い出すことがあります。

それから13年後の2013年5月に滋賀県の自宅で個展
「大黒貴之展 彫刻・ドローイング」を実施しました。

一時帰国に伴って、その夏にベルリンで行われる個展前にドイツでの制作成果を、
見てもらいたいという気持ちから自宅での展覧会を催すことにしました。

彫刻に加えて、ドローイングも出品したのですが、
「ドローイングって何ですか?」という多くの意見を聞きました。

僕のドローイングについては、先にも何度か記事に書いているのですが、
作品ができるずっと以前にあるニュルニュルとした何者かです。

参考記事「ドローイングって何ですか?」

描きだされたドローイングが意味を持ち始めるのは、
数か月から数年後、もしくは数十年後になるかもしれません。

自宅での個展では、2点のドローイングと小品彫刻を購入していただきました。

今年7月にSemjon Contemporaryが参加した
ドイツ、オーストリア、スイスの国境にある湖、
ボーデン湖で開催されたアートフェアでも
ドローイングを買ってくださった方がいました。

これから生み出される彫刻にそれらのドローイングがどうリンクしていくのか。
作品を購入された方たちに楽しみにしてもらえたらなと思います。

部屋に作品を設置して、
何年も作品を見ながら楽しんで頂けることは
作家にとって何より嬉しいことです。

2003年ベルリンでの個展、2011年ドイツへ来る前の福井での展覧会、
自宅で開催した「大黒貴之展 渡独以前」で作品を購入してくださった方々、
また2013年ベルリンの個展で僕の作品を買ってくださったドイツ人の皆さん、
彼らは彫刻家・大黒貴之の「イノベーター」です。

作品を制作するたびに、心が折れそうになるたびに、
その人たちの顔が脳裏に浮かびます。

秋に現場設置をする彫刻は、大詰めを迎えています。

今回の彫刻に使用する鉄枠部分の外注準備もついに整い、
あと一か月くらいで2点の彫刻が姿を現すことでしょう。

ドイツに来て、3年半。

彫刻家として生きているという実感が日に日に強くなってきています。

TD_1-2014O. T. (SC 01-2014)
2014, 29,7 x 21 cm
(25 x 34,5 x 2,5 cm gerahmt) 
Graphit auf Papier 
Foto: H.N.Semjon

無題(SC 01-2014)
2014, 29,7 x 21 cm
(25 x 34,5 x 2,5 cm 額装サイズ)
紙に鉛筆
Foto: H.N.Semjon

Author by gross-schwarz

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