ゴールにたどり着くまでのプロセスが記憶に残る。時間を生きるということ。

      2016/11/15

2つの時間の感覚

時間を生きる-01
彫刻家の大黒貴之です。

タイムイズマネー 。
これは近代的かつ資本主義のルールに基づいて
出てきた言葉なのだろうと僕は捉えています。

時間をいかに有効に使うか与えられた時間を
どうのように使えばいいのか。

大事なことであり、その時間を充実させるテクニックです。

ペルーやインドでは、
「時間は生きるもの」という考え方があるといいます。

定めた目標にたどり着くまでのプロセスが意味を持つ
というように僕は解釈しています。

目的を達成した瞬間より、
そこに至るまでのプロセスが興味深く喜びがあるのだと。

例えば、旅行に行くときに、
目的地にたどり着いたということより
そこに向かっている道中の時間が記憶に残っているものです。

他にも、人里離れた山奥にある美味しい窯焼きのパン屋さん。
どんなパンなのだろうとワクワクしながら、
向かっている道中が楽しいものなのです。

前者は「結果を出すために時間をどのように使うのか

後者は「結果を出すまでの時間をどのように生きるのか

彫刻は、触感の芸術

時間を生きる-02
ある日、ベルリン在住の日本人画家と話をする中で、
「彫刻家は生き方なのだと思う」という彼の言葉が印象的でした。

彫刻は触感の芸術だと言われています。

触りたくなる誘発感、
または、素材感などは彫刻にとって大切な要素です。

僕はそれに加え、触感とは、
作家自身の生き方や考え方に触れるということなのかもしないと。

作品は1つ2つ見ただけではわかりません。

彫刻、タブロー、ドローイング、文章などは、
ひとつの足跡にしか過ぎません。

その作家から生み出された”それら”を通して、
最終的には、その作家の世界を体感する。

そして、人生そのものが1つの物語になり、
その物語自体もが作品として昇華されていくのでしょう。

そうなると、1年、2年のスパンではなく、
四半世紀、半世紀のスパンで、行動し
制作を進めていく必要があります。

それらの経過を振り返ったときに、
“今”を生きたその作家のまなざしを垣間見ることができるのでしょう。

感覚や直観でつくるのか、
それとも論理的、戦略的につくるのかは作家によって異なりますが、
実力のある素晴らしい作家は、「まだ見ぬ先」を感じて作品をつくるといいます。

それは、未来への不安でもあり、予感でもあるのです。

 

Author by gross-schwarz

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 - 現代アート, 思考する, 彫刻