人はいつから大人になるのだろうか?ぼくが体験した2つの出来事

      2017/01/04

彫刻家の大黒貴之です。

大人っていつからが大人なんでしょうね?

以前、他業種の人たちと交わした議論の中で
「いつからが大人なのか」という話になりました。

日本社会の現行では20歳から成人となり大人とみなされます。

しかし、20歳になった時点で全員が
大人になるなんて 誰も思っていないと思います。
(2017年から18歳からを成人と定める動きになっています)
関連記事:18歳で成人と言われているが実際に心身共に成熟するのは何歳なのだろうか

では、いつから人は大人になるのでしょうか。

それぞれの人たちがどう答えていたのか失念していますが、
ある人が「子どもができたこと」という1つ答えを出しました。

その辺りで、時間が来て議論は終了しましたが、
その後もそのテーマが自身の中で引っかかっていました。

この後に書く2つの出来事は
こういうことが大人への入り口なのかなって感じたことです。

Photo via VisualHunt.com

1.親になり、子どもに頼られること

3年前、子どもが生まれて僕は父親になりました。

彼女が生まれる瞬間を垣間見て、
その小さな生命の成長と共に今が経過しています。

日に日に出来ることが増えてくる彼女の言動からは
大きな喜びと楽しさを感じる毎日です。

子どもは弱い存在であるがゆえ、親を頼らざるを得ません。

ぼくはそんな小さな生命に頼られる存在になりました。

先の議論の中の回答の一つとして、
「子どもができたこと」というのは、
こうゆうことなのかなと
昨今、少し理解できるようになりました。

小さな生(せい)が自分を頼るということ。

2.親がいなくなり、頼れなくなること

これと平行して、
もう一つ人が大人になるとはこうゆうことかなという
きっかけをぼくは体験することになります。

それは自分の親が死ぬということです。

30歳のときに父親がくも膜下出血で急逝しました。

自分の前に立つ大きな存在がいなくなってしまいました。

風が去っていくようにいなくなった彼の存在を考える中で
「口では文句を垂れながらも反抗しながらも
もう最後に頼れる大きな存在がいなくなったんだなぁ」
と 彼が寝ていた部屋でポツンと一人座り、
そんなことを考えていました。

一番、身近な存在が「死」を迎えるということ。

彼の葬式はまるで嵐のようにゴゥゴゥと過ぎ去って行きました。

・・・・・・・・・・・・・・

それから何日か経ったあと、
幼馴染みの親っさんが うちに来てくれて、
いろいろと話しをしている際に、

「人は自分の目の前に頼れる人がいる間は、大人になれん」と。

その言葉が何かとても印象に残っています。

結局、大人になるってどういうこと?

不思議なものです。

世界中で毎日、誰かが生まれ、
そして誰かが死んでいくのです。

しかし、新聞やテレビ、ネットなどのメディアで
そのことを知っても、それほど歓喜し、
また深い哀しみを感じることはそうそうありません。

自分の直近にある存在の生と死を体感することほど、
本人が感じる感情や想いは計りしれないものがあります。

そのことはそれだけ自分に影響を与えるということなのでしょう。

「最も身近な存在から頼られ、最も身近な存在に頼れなくなる」

或いは

「誰かに頼られ、そして自分は極力誰からに依存しない」

そういうことをを肌で触れながら
「人は大人になっていく」のではないかな。

数年前の議論のテーマ「いつからが大人なのか」
目下、それがぼくの1つの答えです。

(大黒貴之 ニュースレター2015年11月号「人はいつからが大人なのか」より加筆)

Author by gross-schwarz

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