ピックアップシリーズ 彫刻編② 甘く辛いあの時間はもう2度と味わうことができない
2017/11/23
彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。
彫刻作品の紹介シリーズです。
学部は絵画専攻で入学したのですが、
彫刻の方がぼくに向いていると感じて
大学院は彫刻を専攻するようになりました。
このころから木を使い始めます。
ノミなど木を彫る道具を集め出したものこの頃からでした。
忘れられた収穫, 2000, 260×180×180(cm), 木・荒縄・和紙
Photo: Takayuki Daikoku
↓大学院の修了展に出品した彫刻「枯れ木に花を咲かせよう」
枯れ木に花を咲かせよう, 2001, 260×720×540(cm), 木・和紙
Photo:Takayuki Daikoku
枯れ木に花を咲かせよう No.2, 2001, 260×200×200(cm), 木・和紙
Photo:Takayuki Daikoku
以前の記事「制作環境を整えれることは才能。その環境が制作の継続につながる」
にも書きましたが、学校を出る頃になると
制作場所の確保をどうしようかとみんな考え始めます。
研究生や助手などになって
学校に残ることは先生や生徒たちとの関わりを保ちながら
制作もできるのでいい環境だなぁとは思いましたが、
遅かれ早かれ学校からは巣立っていかないといけません。
ですので、ぼくはノミやのこぎりなど最低限の道具で
つくれる作品にしようという気持ちがありました。
学校を出て、学生時代の同志が周りにいなくなったことに
一抹の寂しさがありました
しかし、それがドイツへ向かう大きな機会にもなったわけです。
大学受験や大学で出会った多くの同志。
芸術や人生、恋愛についてあーでもないこーでもないと語り合った。
今振り返ると甘く苦い時間だったなぁと思うんですよ。
そして、その時間はもう味わうことができない一生に一度の時間なんですよね。
関連記事:ぼくがベルリンに向かった理由 第一次渡独 2001-03年
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