【親の尺寸と子のメートル】親の話はなぜ子どもに伝わらない?時代の価値観の変化とは

      2017/11/23

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

以前、ある居酒屋に飲みに行きました。

楽しい宴の途中でトイレに立った際、
張り紙に書かれていたある言葉。

「冷酒と親父の小言は後で効く」

人生には年齢を重ねたり、経験を積まないと
分からないことがたくさんあります。

若い時は
「へっ、そんなもんなんでせんなあかんねん」
とか
「豆腐やソーメンよりも焼肉やろ!」

なんて生意気なことばかりでしたが
歳を重ねると先人たちが言っていたことが
不思議なことに理解できるようになってくるものです。

Photo via VisualHunt.com

その時に必要だからこそ伝わる。しかしそのタイミングを計るは簡単ではない

かつて田んぼを4年ほどやっていたことがあります。

苗植えから精米するまでのプロセスを辿り
いろんなことを学びました。

苗に十分な水を与える5月や6月。

まだ根が張っていない小さな苗は
圃場(ほば)に十分な水がないと枯れてしまいます。

逆に圃場(ほば)の水を一旦抜いてやるのは梅雨時。

この時期、水を抜くことによって
水分を求めて地中に根が張っていきます。

ここで根が十分に張らないと風が吹くとすぐに
倒れてしまう稲になってしまいます。

水をやる時期も抜く時期も
それぞれのタイミングというものがあるのです。

人も同じように、人に何かを伝えるときや
何かを教えようとするときには
そのタイミングが大事ですよね。

そのタイミングがずれると
「あ~ウルサイ!」
となってしまうのです。

先の「冷酒と親父の小言は後で効く」の諺にしても、
親がすでに経験をしてきたことを
よかれと思って子どもに言うのですけれども
子どもはなぜそんなことを言われるのかわかりません。

なぜなら、子どもはまだその言葉を
必要としていないからです。

必要としていないのに
「あーだ、こーだ」言われても
ただの雑音にしか聞こえません。

必要な時には、喉から手が出るくらいほしいと思う商品でも、
必要でもないときに突然、電話がかかってきて
商品の売り込みをされてもイラっとくるのと
同じような心理ですよね。

しかし、ある年齢になったり、
いろいろな経験を積んでいく中で
「あ~、やっぱり、親が言っていたことは
正しかったんだな」としみじみ思うことがあります。

親は尺寸法で子どもはメートル法で考えてる。けれども定規は定規

ただし、ここで注意しないといけないのは
その正しいことは、いつの時代でも
通用する経験則を伝える必要があります。

人間の心理は時代が移り変わっても
それほど変わっていませんからね。

しかし、親の時代の常識は
子どもの時代や孫の時代にも
同じように常識とは限りません。

それは、その時代の流行りや時代背景が違うからです。

「親の尺寸、子のメートル」

と何かの本に書いてありましたが、
それだけ時代の価値観には変化があるということなのです。

親は子供に「この長さは一寸だよ」と
教えても子どもは「一寸って何?」
となってしまいます。

ちゃんと子どもが理解できるように
「この長さは3.3cmだよ」と
言ってあげないと伝わらないんですね。

親が子どものために良かれと思い、家を建ててあげても
「あっ、ぼく東京に行くから、この家に住まないよ」
と言われて、誰も住んでいない家が
ただ建っているってこともあるくらいです。

これが時代の価値観の違い。

でも、長さを測る定規は定規ですよね。

定規の便利な使い方や使用の注意については、
子どもに話をしても通じるものが
多々あるのではないでしょうか。

時代の変遷があっても、
人の心理や人生についての根源になるような
諺や話は常々、小言のように言ってもいいのかもしれません。

この点において、
子育てや人を育てることは時間がかかるもの。

そして、タイミングを計って伝えることの
難しさがあるのでしょう。

人生、奥深いものです。

Alles Gute! (アレス・グーテ!)

Author by gross-schwarz

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