死とは何か。死んだ時にその人の生きた証が初めて現れる。

      2016/11/26

彫刻家の大黒貴之です。

父が他界してから「死」について考えることが多くなりました。

祖母が死んだ時、彼女の白骨を観て人のはかなさを知りました。

親父が死んだ時、初めて「死」について真剣に考え始める自分がいました。
参考記事:「ぼくの作品の根幹にあるテーマ -アンビバレントの共在-」

人は死んだらきっと「無」なるのだろう。

死とは何か?Photo via VisualHunt.com

仏教以前のウパニシャット哲学に輪廻転生という思想があります。
いわゆる人間は生まれ変わるという思想です。

「ぼくの周りで死んでしまった人たちはどこへ行ったのだろうか」
と真剣に自分に問うていた時期がありました。

父の「死」以降、死についていろいろと考え、そして考え続けています。

ぼくの現時点の考えとしては
生まれ変わりなどはなく死んだら「無」になるという結論に至りました。

「無」になるという言い方自体が不自然なのですが、
たぶん、私たちが毎日寝るような感じなのだと思うのです。

あんな感じで、そのまま永遠に眠り続けるか、
次の日も心臓が動いていれば、また目が覚めるだけの違いなのだと思うのです。

「死んでから、どうなるなんて私に聴かれてもわかりませんよ。
死んでからのことを考えるよりも、
あなたが生きている、「今」をどうするべきか考えるほうが大切なんじゃないですか?」と、
お釈迦さんもドイツの哲学者カントさんも同じことを言っているのです。

ちなみに禅の思想でも物質的な輪廻というものはありません。

しかし「無意識のようなもの」は残るのではないか

これらを参考にしたぼくの考えは、
生命体の死後、私たちが生きる世界に残る「無意識のようなものの回転」が
仏教でいういわゆる輪廻ではないだろうか。
というのがぼくの仮説です。

つまり、目に見えないその人の無意識のようなものが輪廻をしているのだと。

その無意識のようなものが、残った人へ受け継がれ、
そしてまた、新しい時代へつながり時代が形成されていく。
そうやって時代は回転していくのだろうと。

死んだ後、「物質としてのその人」は消えてしまいますが
「その人が生きた足跡」は必ず残ります。

その軌跡が、直接あるいは間接的にでも
関わった人たちに影響を与えるのです。

人が死ぬこと自体は、体が動かなくなることですが
人が死ぬという様、もしくは死んだ後の見えない無意識に
計り知れない意味があるのだと思うのです。

死んだらどうなるということを考えるのではなくて
死ぬということの意味を考えないといけないとぼくは思うようになりました。

死ぬということの意味とは、生きていた時の証であるようです。

人は死んだ時にその人が生きてきた結果が初めて現れるのだと思うのです。

だからこそ、今、この瞬間を大切に生きていく必要が私たちにはあるのです。

2009年5月8日「死ぬということ」を加筆添削しました。

Author by gross-schwarz

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