資本主義の原動力「欲望」の対極にあるもう1つの「心」って何だ?

   

彫刻家の大黒貴之です。

人間の欲求は止まることなく続いていきます。

その欲求が貨幣と結びつくことによって資本主義は
モンスターのように発展してきました。

今日よりも明日、明日よりも明後日・・・

「我をもっと便利に、我にもっと快楽を!」

しかし、人間はこの欲求と共に
実はもう一つ大切な欲求を持っていると
歴史上の偉人たちは見抜いていました。

そのもう1つの欲求はなんなのでしょうか?

前回の続きです。

Photo credit: Biblioteca Rector Machado y Nuñez via Visual Hunt / CC BY

もう1つの人の欲求とは?アダムスミスとパスカル、仏教の「縁起」

資本主義の先駆者的存在であるアダム・スミスは
「国富論」の中で「神の見えざる手」という言葉を一度だけ使いました。

「市場において、自己利益だけを優先すれば神の見えざる手が
上手に社会全体に利益が出るようにしてくれますよ」という意味です。

しかし、一方で彼は「道徳感情論」という本も執筆していて
それには「人は何も得なくても他人に対して善い行いを施す性質がある」
と最初に書いています。

そして、アダム・スミスからさかのぼること100年前のフランス。

「人間は考える葦である」と言った人がいます。

そうですね、哲学者あり数学者でもあったブレーズ・パスカルです。

「パスカルの定理」や彼の思想をまとめた「パンセ」が有名ですね。

「人間は自然のうちでもっとも弱い葦の一本にしかすぎない。
しかし、人間は考える葦である」
と彼は言いました。

「17歳のための世界と日本の見方」の著者、松岡正剛さんは
この本の中でパスカルのもう一つの重要な言葉を説明しています。

「人間は快楽と懐疑の間を考える葦である」と。

スミスやパスカルが言っていることを考えると
人間は「果てしない利己的欲求」「社会的調和への欲求」という
2つの欲求を持っているのだ説いているのです。

ぼくは社会も国家も経済も神も
人間が誕生した後に生まれた概念は
全て人の心が生み出している
ヴァーチャル世界ではないかと考えています。

つまり、それらは人間の心理にすべて直結しているということです。

そこを分析すると、おのずと人間は「二律背反」した
生き物だということが見えてきますね。

二律背反とは「同じものが異なる二つの目標に向かって進む」という意味です。

これは人間社会だけはなく、
人間を取り囲む自然がそういう仕組みになっているからだとも言えますよね。

だって、人間も所詮は自然の一部なのですからね。

悲しさがあるが故に喜びがある。

悪があるが故に善がある。

利己的欲望があるが故に社会的共感がある。

そして、それらの心をもった人や物事の
関係性の中で社会は成り立っているのです。

それらを悪か善か。正義か悪か。というように
二元論的に分けるのではなく、その両方が必要なのです。

もっと言えば、両方の心をいつも人間は持っているんだと
考えるとなんだか、資本主義の限界も
社会的な共感欲求に対してもなんだかすっきりしますよね。

そういうことを考えていると、仏教の根本思想である
「縁起」にたどり着くんじゃないかってぼくは思うわけです。

そのことを2600年前にすでに気づいたお釈迦さまはまさに天才です。

世界の生き物の頂点に君臨しているという人間。

しかしわたちたちはまだまだお釈迦さまの手の上で
転がらされているように思えてなりません。

Alles Gute! (アレス・グーテ!)

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