作品を制作する一方で、お金のこと、嬉しいこと嫌なことなども受け入れる覚悟があるかどうか

      2016/11/15

彫刻家の大黒貴之です。

以前、「大黒君は作品売りたいの?」と言われたことがあります。
その時は、ぼくの頭の周囲にはたくさんの「?」が点灯しましたが、
そのまま受け流しました。 作品を売ることは大切です。

もともと作家でもあった僕のベルリンのギャラリストが、
「生活ができないと作品もつくれないじゃないか!」
とぼくに言いましたが、それは、自明のことです。

作家は霞を食べて生きているのはありません。

それに作品は、第三者の誰かが管理していくことで残っていくのです。

仕事場の片隅にある誰にも知られていない作品は 存在しないのと同じなのです。

かつて、イギリスの現代アートの鬼才、ダミアン・ハーストが

「お金は新しい扉を開けるための鍵だ」

と言いました。

まさにその通りだと僕も思います。
もちろん、そのツールを手に入れること自体が
目的となってしまってはダメですが、
「鍵がなくても、扉を開けれるんだ!開けゴマ!」というのは
ただの根性論にしかぼくには聞こえません。

オーストリアに在住しておられる現代アートの作家の方が
「工芸学科に在籍していた生徒たちは作品を制作する一方で
いかに作品を売るかということにも 熱心になっていた」
と言っていました。

そして、なぜ、美術科では、自分の作品を売ることに
そんなに抵抗があるだろうととても不思議に思うとも。

どんな人であれ、身銭を切って買うということは、
その対象をリスペクトしているということです。

身銭を切って買ったものは、大切に扱ってもらえます。
鑑賞者と作品の間にある琴線に触れたとき、
人は感動し、身銭を切るという行為に移るのではないでしょうか。

そして、作品を買ってくれた人は、 その作品を真剣に眺めながら、
その作家の成長を気に留めてくれるのだとぼくは思います。

「作品は売れなくてもいいです」
というある若い作家の言葉。

それは、ただの責任逃れにしかすぎないのだと思います。

楽しいだけではアマチュアです。

作品制作のこと、人とのかかわり、お金のことなど、
嬉しいこと嫌なことはたくさんあります。

しかし、それらを、受け入れる覚悟があるかどうかが、
プロとしての最初の入り口なのではないでしょうか。

©大黒貴之 Takayuki Daikokurenmen Ensemble / 連綿 アンサンブル 2015 photo:Takayuki Daikoku

Author by gross-schwarz

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 - 現代アート, 彫刻