観念論と唯物論。 ヴィジョンと環境の2つの要因によって人間力を高める。

      2016/11/15

13年ぶりの対面

Flora

彫刻家の大黒貴之です。

前に買ったタカユキの作品の一部が外れちゃったんで、修理してくれる?」
とヘンリックさんがセミヨン・コンテンポラリーの
隣にあるカフェで声をかけてきました。

作品は「Flora」

彼の部屋にお邪魔すると暖炉の前に僕の作品が2点展示してありました。

その作品とは13年ぶりの再会になるでしょうか。
土台の裏側を見ると、あどけない青色の筆文字で「貴之」と書かれてあります。
25歳の自分と再会したようで、感激する一方で恥ずかしいような気持ちも。

"ウレシハズカシ"というのがしっくりくるのかもしれません。

「君の作品がほしいんだ」

13年前そうヘンリックさんは僕に声をかけてくれました。

「あの作品は壊れているから駄目だよ」というと。

「じゃ、修理してくれる?」

そういって、後日修理した作品を
彼のお姉さんと一緒に僕の部屋まで取りに来てくれました。

嬉しそうに作品を持って帰っていく彼らの背中を今も忘れません。

・・・・・

最初のころは、作品が売れて、純粋に嬉しさを味わっていました。
平行して、少し寂しい感覚も覚えました。

しかし次第に、作品が売れることに対して、
そのような感情と共に緊張感を感じるようにもなってきました。

身銭を切って、作品を購入していただくということに対して
制作者としての責任感をより意識するようになりました。

人間力を高める2つの要因

賢者たちは庭へ行く

人っていうのはどうやって成長していくのだろうと考えて続きてきましたが
おそらく、2つの要因が必要だと分かってきました。

1つ目は、自分のヴィジョンを持つということ。
これは、観念論ということになります。
これ関する話は今までに何度かしてきました。
「どのような現代アートの作家になりたいのかを知ることで行動が決まる」
ヴィジョンがないと、自分が進む方向がいつもブレてしまいます。

2つ目は、自分がいる環境です。環境が人を変えるということ。
これは唯物論になります。
周辺の環境からの影響はものすごく大きいですね。

先日、ある日本人の方と話をしていて大変感慨深く思うことがありました。

「人間力」を形成していく上で
平素の勉強に加えて、緊張感のある場所に飛び込んでいくことが重要なのだと。

しかしそのような場は自分で作り出すことはできない。
だから、そのチャンスがあれば、是非飛び込むべきだと。

作品をつくり、しかるべき場所で発表する。
また、誰に作品を見てもらいたいのか。

世間に問うという行為と作品が売れることに対しての喜びと緊張感。

「ピンッと張りのある作品」が生み出されていくスパイラル。

そのスパイラルに入れるチャンスをものにできるかどうか。

作家として歩んでいく上でとても重要なことです。

Author by gross-schwarz

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