【VALU】利己と社会的調和の共存-ぼくがVALUを始めた理由

      2017/11/23

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

今、インターネット上で話題になっている
新しいサービスである「VALU(バリュー)」をご存知ですか?

VALU : https://valu.is/

一体、どのようなシステムなのでしょうか?

ざっくりいうと自分自身を
「まるで株式のように上場して個人の価値をトレードする」
というシステムです。

ここで留意する点は「株式のような」ということです。
つまり株式と同じ構造では無いのです。

「何かの目標に向かって行動やアクション、
頑張っている人に対して第三者が応援しよう!」
というのがこのサービスの主旨です。


確か2017年5月末に公開されて
その1週間後にぼくは登録申請をしました。

その後無事に登録でき、VALU内でぼくの上場を開始しました。

他の上場者を眺めると
有名人やブロガー、実業家、スポーツ選手、保育士、ニートなど
さまざまなジャンルの人たちが登録し、自身を上場しています。

どのようにしてこの上場者たちを応援するのでしょうか。

先ず「上場者が発行するVALUという通貨のようなもの」を
ビットコインで購入する必要があります。

ビットコインを購入し、それをVALU上の自身のWebアカウントに送金、
そして上場している個人のVALUを購入するという流れになります。

当然、購入したVALUを売却すると再びビットコインに変換、
そのビットコインを日本円に換金することもできます。

その辺が「まるで株式のように個人を上場できる」
という所以なのだと思います。

上場者は、売りに出した自身のVALUをビットコイン、
そして再び現金に換金することができます。

そのVALUという通貨は、例えば、活動資金に使ってもいいし、
他に支援したい上場者のVALUを購入してもいいのです。

しかし株ではないので、会社が倒産したときのように
上場していたVALUの価値が無くなっても
資産の分配がされることもありません。

要するに
「おいおい!せっかく君のVALUを購入したのだから返してくれよ!」
と言われることはないのです。

原則的には、純粋にその個人を応援するのというが目的だと解釈しています。

有名人やアイドルなどの職業の人たちは
すぐに買い手が集まり、VALUの価格が上昇していきます。

そのような有名人のVALUを早く購入して、
価格が上昇したら売却という人もいるでしょうし、
純粋に応援したいという気持ちでVALUを購入する人もいるでしょう。

このサービスの主旨は個人を応援するものですが
売買という資本主義の原理が働いているため、
損得という「利己的欲求」が生まれても不思議ではありません。

しかし同時に、頑張っている誰かを応援したいという
「社会的調和欲求」も同時に含まれているわけです。

イギリスの経済学者であるアダム・スミスは人間には
「利己的な欲求」と「他人とつながりというシンパシー」を
同時に持っている生き物だと論じました。

このVALUにはまさにその二つの欲求が内在されているとぼくは感じています。

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Photo credit: william.n via Visual hunt / CC BY

VALUの何が画期的なサービスなのか?

このVALUってサービスの凄いところは、
このようなWebサービスは往々にしてアメリカが発信して、
アメリカで流行ったものが日本に
上陸するというがこれまでの流れでした。

ブロックチェーン技術が
これから発展していくと感じたときから
将来的にこのようなサービスが
生まれるかもしれないなぁと思っていましたが
きっとまだ数年はかかるだろうなぁと。

しかし、このVALUというサービスを日本人が考えて、
日本から発信させたということ、
そして、2017年の時点ですでに
スタートし始めたことにぼくはとても衝撃を受けました。

またβ版ということで試行錯誤をしている最中だと思いますが、
おそらく今後多くの人たちが
このサービスに参加していくことが予想されます。

そして将来的にこのようなサービスが世界中に広がったとき
その可能性は限りなく広がっていくでしょう。

もし世界中の頑張っている人が多くの個の人たちから
少額の支援を直接受けることができればすごいですよね。

反対にぼくも世界で頑張っている人に
直接支援をすることができるようになるのです。

さらにその価値が上場者のアクションと共に
上昇していく可能性も秘めているのです。

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ものをつくる作家との関連性はどのようなものなの?

現代アートの市場システムを考えると
実はこのVALUのシステムと類似しているところあります。

現代アートのマーケットも、まるで株式のようなものです。

魅力ある作品や将来的にアートの歴史に
位置付けられるであろう作品を
どのようにして価値付け、世に出していこうかと
世界中のコマーシャルギャラリーは切磋琢磨しているわけです。

少なくともぼくがベルリンに所属しているギャラリーは
作家の作品を美術館やアートフェアなどの大きな舞台で
コレクターや美術関係者たちに紹介し、
世に出していこうと日々行動しています。

関連記事:現代アートにおいての重要な職業ギャラリスト。ーベルリンのギャラリストとの交流からー

アート作品は、購入する人が魅力的だと感じる作品を買うのですが、
その側面には、将来も価値が落ちないとか、高まるであろう
そして、その作家やギャラリーを応援したいという
感情が織り込まれているのではないかとぼくは考えています。

要するに、その作家や作品、ギャラリーの「世界観」を
共有するために作品を買っている
のです。

そしてその世界観を生み出しているどんな仕事でもそうですが、
続けていくためには運転資金が必要です。

作品でも新しい作品をつくるために道具や材料が必要ですし
人に会ったり、取材をしたり、何よりも「考える時間」がとても重要なわけです。

作家は、なかなか作品制作だけでは食べていけないので
アルバイトをしたり、学校の先生になるのが王道です。

一方で、過去の歴史を紐解いていくとどうでしょうか。

現存している作品はほとんどの場合、
コレクターが購入をしてコレクションをしたり、
美術館が保存するなど第三者が支援や応援して
作品が残っていることが多分にあります。

それに制作を続ける資金がある作家は
制作に集中できる時間が増えるので
必然的に作品の量も増えますし、
それに伴って作品のクオリティーも向上していく傾向にあります。

アート作品は、一般的な生活必需品やいわゆる便利なものではなく、
先にも書いたように、その作家の「世界観」を共有したいという
欲求のために作品を購入する人がほとんどだと思います。

この世界観の共有は、アートや音楽、芸能界などにとどまらず
あらゆるビジネスにおいても共通するところですよね。

中にはマーケットの習性を利用して、
作品内容ではなく値上がりだけに期待をして
投機的に作品を買う人もいますが、
多くのコレクターはその作品が気に入ったから
買うのはないでしょうか。

アート作品は、決して安いものではありません。
(それでも日本の現代アート市場は脆弱で
作品の値段も世界的にはとても安いです。
ベルリンのギャラリストから聞いた話ですが、
ドイツの学生上がりの作家が描いたA4サイズの絵で
400ユーロ(約50000円)くらいから出発するそうです)

結果、作品を購入できる人たちは
どうしてもある程度のお金に余裕のある人たちになり、
それ以外の人たちにはなかなか
手の届かないものになってしまっています。

ドイツなどのようにギャラリーや美術館などが身近にあったり、
部屋の中にアート作品が飾っているようなことが
日本ではまだあまりみれらないため
ますますその溝は深まっていくようにも映ります。
でも現代アートが好きな人はきっと多くいるでしょうし、
作家を応援したいと思う人は多くいると思います。

そのような人たちが少しずつVALUというサービスを使って
作家を応援することができる環境が整っていけば
どれだけ若い作家たちに勇気が湧いてくることだろうと。

Photo via Visual hunt

VALUを活用することで、きっと新しい発見がある!

「現代アートの作品を続けていくうえで必要なお金をどこから引っ張ってくるのか」

という問いへの答えに、VALUという1つの選択肢が現れつつあるのです。

それも"www"というワールド・ワイド・ウェブの仮想空間で、
かつ、ビットコインというブロックチェーン技術を利用することによってですよ!

これはすごいことですよね。

現存するリアル社会のシステムだけではく
バーチャル社会のシステムにも、現代アートの作家が
入り込んでいくこと環境がすでに整っているのですよ。

そして、リアル社会とバーチャル社会は
今や日本円などの通貨とビットコインに
代表する仮想通貨という形で
すでにリンクしているのです。

ぼくは日本にはもっと現代アートという
市場が広まっていくことを切に願っています。

なぜなら、そのことによって制作を
続けていく作家が増えますし、
若い世代の才能ある人たちが作家になろう
という意志がもっと芽生え始めるからです。

現代アート界がもっと活性化すればいいと考えていますし、
そのことによって、日本社会の中に
変化が生まれる1つの切っ掛けになればと思います。

頑張っている人の世界観を共有したいと願う人たちが
「10万は出せないけど、500円なら応援できるかな」
という気持ちが多々芽生え始めたら、
これはとても大きなうねりになりますよ。

そして応援する作家が活躍することによって、
購入したVALUの価格も上昇するかもしれない。

これはリアル社会でもよく似ていて、
作家が作品を制作し、ギャラリーや美術館などで作品を発表したり
コレクターに作品が買われていくことによって作品の価格が上昇する。

作家が活躍するためには制作を続けていくための資金が必要です。

給与、作品の販売、、他の事業をする、
パトロン的な第三者やサポーターの援助・・・それは人それぞれでしょう。

資本主義のルールの中で現存する私たちは
「通貨という代替え品」が無いと生活できないようになっているのです。

ぼくのギャラリスト、セミヨンさんはかつてぼくにこのように言いました。

「お金は必要だ。それがないと生活ができないし、
生活ができないと作家の仕事である制作もできない」と。

きっと、次々にVALUのサービスを利用する人が出てくるでしょう。

将来的には、それが展開してそれに付随するサービスも出てくるでしょう。

AI(人工知能)、ビッグデータ、ブロックチェーン技術、ビットコイン、VALU・・・

キリスト誕生以来、リアル社会を制覇した人類は
2000年後、今度はヴァーチャル社会という
果てしなき大海原へ船を漕ぎ出したのです。

当然、その大航海をしている際中には
様々な問題や困難も伴います。

しかし、その時代の流れはもはや
誰にも止めることはできないでしょう。

必然的に現代アートに関与する
私たちもその流れにリンクしていくことになるでしょう。

現代アートが「同時代性のアート」というのであれば
人類が開発した(もっというならば、私たちがそれらを無意識の中で望んだ)
これらの新しいバーチャル世界にもリンクしていくことは
今を生き、現代社会への眼差しを向けるぼくにとって
とても重要なことだと考えています。

さまざまな可能性を秘めたVALUという新サービス。

まだまだ未知数な部分もありますが、
パラダイムシフトの1つの大きなきっかけになると
感じているのはぼくだけでしょうか。

Alles Gute! (アレス・グーテ!)

ぼくのVALUページです。
https://valu.is/takayukidaikoku

まだ試行錯誤の中で運営を行っていますが
応援くだされば幸いに存じます。
(7月現在、平日9時~21時以外はメンテナンス時間となっています)

※ VALUにおいてのトレードは、頑張っている人を応援したい
という気持ちが前提にあるとぼくは考えています。
トレードの判断はよくご考慮の上、全て自己責任でお願いいたします。

Author by gross-schwarz

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