【見栄を張る】20世紀の「箱物」から21世紀の「中身」へ移行していこう

      2017/11/23

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

歌舞伎の舞台で「見えを切る」という言葉があります。

辞書で引くと
「自分を誇示するような態度をとる」と出てきます。出典:広辞苑

また「見栄を張る」という言い方もしますよね。

「外観を飾る。うわべをつくろって必要以上によく見せようとする」出典:広辞苑

「見栄を張る」ことはきっとどこの国の人にだってありますよね。

具体的に言うと、

少しでも自分のことをよく見てもらおうと話に色をつける。

知らないのに知っているフリをする。

お金が無いのに持っているフリをする。

「ハコモノ(箱物)」と「見栄を張る」はリンクしてるんじゃない?

バブル時代、その資金力に任せて日本全国に
美術館など多くの立派な建物が建設されました。

今では、国公私立を合わせると
1000近い美術館や博物館が日本にはあるそうです。

しかしその多くが経営難に陥っているということを聞きます。

「ハコモノ(箱物)」という言葉を聞いてもう久しいですよね。

「日本では作品を梱包するための箱が重要だから
しっかりした綺麗な箱に入れなきゃ駄目だ」と学生の頃よく聞きました。

ドイツでは作品が売れてお客さんが絵や彫刻を持って帰るときでも
傷がつきにくいようにとか手垢が付かないようにとか
最低限の梱包しかしないことがほとんどです。
(もちろん飛行機や船便などの長距離運搬は別ですが)

日常な例を挙げると、ケーキを買っても梱包する箱はありません。
下に紙皿を敷いて、後は紙でサッと包んでおしまいです。

確かに、お客さんや友人知人のところにお土産で持っていくときには
何か物足りなさを感じますが、大切なのは外見の箱より中の商品なのですから、
そういう意味では理に適っているわけです。

しかし、箱というハードを立派につくっても
肝心の中身であるソフトをしっかり充実させなければ、
ハードをつくった意味がなくなります。

アートでいうならハードは美術館、
ソフトは作家の作品であるとかアートの環境であるとか
マーケットの流通システムになるのでしょう。

Photo credit: koziro via Visualhunt / CC BY-SA

名著「悩みどころ逃げどころ」の学校的価値観とは

社会派ブロガーのちきりんさんと
トッププロゲーマーの梅原大吾さんの
著書「悩みどころ逃げどころ」を読みました。

ちきりんさんと世界のトッププロゲーマーの
梅原大吾さんとの対談がまとめられており
非常に興味深い内容でした。

その中に「学校的価値観」への疑問が提言されていました。

私たちは学校教育の中で知らぬ間に
学校的価値観を植え付けられているとちきりんさんは言います。

その価値観は「学校が提示した通りに進めば人生はハッピーなんだよ」と
いうレールに乗ることが大事なことだと理解しています。

それは高得点だったり、高い偏差値であったり
「これができれば褒められます」的な価値観。

「でもその価値観って本当に正しいの?」
っていう問いがこの本には書いています。

日本社会では、学歴や経歴は重視される傾向にあります。

同じ内容の発言をしていても、その人の履歴で判断されて
それが仕事の受注率にも影響する。
だから学歴や経歴詐称がよく起こるんだとも
ちきりんさんは指摘しています。

時間がないから、その人の履歴を見て
将来的にも有望だろうと判断するのは
手っ取り早いですよね。

でも同時に思考停止にもなっている可能性があるわけです。

「ハコモノ(箱物)」と言われる立派な建物も
とても分かりやすい「見栄」のようなものです。

大切なのは、それに付随にする中身(ソフト)なのではないでしょうか。

パソコンにおいても、WindowsやMacという
OSがインストールされていなければ
パソコンはただの箱になってしまいますよね。

20世紀型の社会システムは、
インターネットや人工知能、ブロックチェーン技術
ベーシックインカムやシェア・エコノミー
などのシステムへ移行しつつあります。

関連記事:AI-人工知能が社会にもたらす衝撃 ロボットとの共存がやってくるぞ
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つまり「全体から個」「ハードからソフト」への移行が始まっていくでしょう。

だからこそ、見た目だけで全てを判断するのではなく
自分で思考し判断できる能力はこれから益々大切になってくるのです。

「ハコモノ(箱物)」から「ナカミ(中身)」の時代へと
変わりつつ気配を感じています。

Alles Gute! (アレス・グーテ!)

Author by gross-schwarz

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