自称芸術家という報道に想うこと

      2017/11/23

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

漫画家であり美術家のろくでなし子さんが
「わいせつ電磁的記録頒布」という容疑で、
警視庁保安課が逮捕されたという記事を見ました。

その際に彼女の肩書を「自称芸術家」と各メディアは報道しました。
芸術家というのは彼女が勝手に名乗っているだけで、
こっちは認めんぞ。と言っているのです。

彼女は、漫画や作品からも収入を得て、
作家としての活動歴もあるので、
「自称芸術家」という報道のされ方に僕は違和感を感じています。

新しい概念を打ち出す「問い」があるか

現在において(特に現代アートにおいて)
どうなれば芸術作品として成立するのでしょうか。

僕の一つの考えとして、その人がつくった作品や表現に
「問い」が含まれているかどうかなのだと思います。

特に 「現代社会へ対する問い」
「アート界への問い」 などが内包されていれば、 そ
れは現代アート作品になるのだろう思います。

こういう見方もあるんじゃないですか?

「問い」というのは、
新しい概念を提示するきっかけになります。

だから、きれいとかうまいとか癒しがあるとかだけでなく
ゾクゾクするとか毒があるとか 皮肉があるとか
「なんやこれは?訳わからん!」
という不安を抱いたりとか、
その作品が売れる売れないとは関係なく、
そのような感覚を覚えるのは芸術作品なのだと思うのです。

そういう感覚になってしまうのは、
「問い」つまり「それまでにない新しい概念」を突きつけられているからです。

人は経験したことのないことに接すると不安になる

人は、それまでに経験したことのない概念に接すると
不安を抱いたり、そしてそれはなんのかと
命名したくなるそうです。

そうすることによって、安心するのです。

例えば、未確認飛行物体という
実際にあるかないがわからないもに
「UFO」という命名をして
安心するのと同じような構造です。

芸能人もアーティスト?

日本では、ミュージシャンや中には
芸能人もアーティストという枠にはめられています。

このことにも以前からとても違和感を感じています。

アーティストは日本語にすると芸術家です。
歌手やバンドマンたちが 「今週のアーティスト○○さん!」と
紹介して出てくるのと アーティストを日本語にして
「今週の芸術家○○さん!」という紹介されるのと全く印象が違います。

芸能人や歌手の人たち
はあくまでエンターテナーなのであって、
芸術家ではありません。

なぜなら問いがあるのではなく、
音楽などを一緒に楽しもう、
共感しようとコンセプトで成り立っているからです。

世間に「問う」ということ

逆に「世間に問うている」音楽であれば、
それも芸術になるのだと思います。

こういうものの見方もあるんじゃないですか?
こういう考え方もあるんじゃないんですか?

そういう眼差しを持って生きている人たちが芸術家なのだと思うのです。

そして、その「問い」に心が振動したとき人は感動を覚え、
その表現は芸術作品に昇華されるのだと思うのです。

今回の彼女の逮捕は、
日本において芸術家がどのような位置に置かれているのか。

また、芸術とは何かを考える一つのきっかけになるのではないでしょうか。 TD_2013_9_4

Zeichnung
2013
29.7×21 cm
Graphit auf Papier
private collection

ドローイング
2013
29.7×21 cm
紙に鉛筆
個人蔵

Foto Takayuki Daikoku

Author by gross-schwarz

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