日本の「空気」と「水を差すこと」 なぜ日本は戦争に向かったのか。

      2017/11/23

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

NHKスペシャル「なぜ日本は戦争に向かったのか(全4回)」を見ました。

1931年9月18日の満州事変から
1941年12月8日の真珠湾攻撃によって
大東亜戦争へ突入していく様子を記録したドキュメントです。

外交、陸軍、メディアと民衆、指導者の動向を
当時、司令部やメディア側にいた人物たちから
証言を得て検証しています。 

日本の空気Photo credit: julajp (A while busy) via Visualhunt.com / CC BY-NC-ND

軍の統帥権の暴走だけではなかった

軍の統帥権による暴走のため
大東亜戦争に入ったということを
以前は聞いていましたが
実はそれだけもないということが
番組から知ることができました。

当時、政府や軍の司令部では、
だれもがアメリカと戦争をすることは
ありえないと考えていたそうです。

実際に、日本とアメリカの国力の差は 80倍もあったといいます。

にもかかわらずなぜ日本は戦争に
突入していったのでしょうか。

戦争突入の原因とは

原因として、
外務省と陸軍の二重外交による信用の欠落と
当時最も危険だったドイツと接近したこと。

巨大組織となった陸軍の暴走。

民衆が求める勝ち戦の紙面と売上のためそれを扇動するメディア。
リーダーなき司令部の決定力不足。
つまり、整理しなければならない問題を
自らのプライドと責任逃れのため先延ばしにしたこと。

各組織の意見を平均的に取り入れ、
結局中身のない政策になったこと。

しかも、戦争突入後のプランも
2年先までしか考えられていなかったことなどが
取り挙げられていました。

まさかのアメリカとの開戦

そして、指導者たちの誰もが
「アメリカとの戦争は絶対に避けるべきだ」
と考えていたはずなのに
最後の選択肢がアメリカとの開戦という
信じられないことになってしまいました。

政府や軍の司令部は日本のエリート中のエリートが
集まった組織だったにもかかわらずにです。

山本七平の「空気の研究」によると先の戦争は
日本全体が作り出した「空気」がそうさせたのだと論じています。

開戦を望まない指導者たちは
「アメリカには勝てない。妥協案をのもう」
という一言が言えませんでした。

つまり誰も「水」が差せなかったのです。

そして、民衆とメディアはイケイケドンドンの「空気」で騒いでいる。

国連の脱退も世界から孤立するから
絶対に避けないといけないとわかっていながら脱退をしてしまう。

そのような「空気」が当時にはあったのだと思います。

水を差すPhoto via Visual hunt

現代社会においても流れる「空気」

その「空気」は現在にも通じる部分があるのではないでしょうか。

否、良きも悪しきもそれが日本の気質なのだと僕は思うのです。
その独特の「空気」が、
日本独自の素晴らしい文化や伝統を育んできたのも事実です。
素晴らしい現代アートの作品は、人が持つ深く普遍的なところをくすぐる力がある

同時に、大東亜戦争への突入、
誰もが下がるはずがないと思っていた土地神話とバブル崩壊、
歯止めがかからない少子化問題、 人材育成の脆弱さ、
当たり前のサービス残業、 有給休暇を取得できない環境などに至るまで、
わかっていても「水」を差すことができない
「空気」が日本には確かに存在しているのだと感じます。

その「空気」は、どこから醸成されるのでしょうか。

それは、私たち一人ひとりの意識や無意識が
醸し出しているのだとぼくは思うのです。

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