自分の音色を出せる人でありたいし、願わくばそうなってほしい。あと、教師冥利に尽きるってこうゆうことなのかも

      2017/11/23

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

今日は、ぼくが高校の美術講師をしていたころの回想録です。

「先生、鍋しましょう!」

20代前半の若者たちが声をかけてくれる。

ぼくがドイツに来る前に出会った彼ら。

美術部の生徒たち

当時、高校の美術講師をしていて
平行して美術部の指導にも当たっていました。
しかし、勤務していた高校の美術部は部員がいなくなり
廃部になりかけていた時期がありました。

そんなときに美術の授業を選択していていた何人かに
美術部に入部したらどうだと誘ったところ
先の彼たちが入部することになりました。

そして、部活動として維持できる
5人にまで生徒が集まりました。

彼らが3年生になったとき、
美術部としての最後の活動なる
高等学校総合文化祭(以下、高文祭)で、
みんなで一つの大きな作品を仕上げよう。

そう決めて、モチーフを考えました。

変わらない高文祭の色

ぼくも高校のときは美術部に所属していて、
滋賀県の高文祭に作品を出したことがあります。

この高文祭の作品傾向として
ほとんどの作品は写実的に描かれたものか
最近ではアニメかマンガを
モチーフにした絵に傾倒しています。

アニメのキャラクター絵は最近の傾向として、
油絵の作風は、僕がまだ高校だったころと
ほとんど変わっていないように映っていました。

つまり、20年経っても、滋賀の高校で教える美術は
ほとんど発展していないということです。

しかし、とんでもない写実力で時間をかけて
コツコツと描いたんだろうなぁ。
とつい見入ってしまう力作もあります。

一方で、対象物を上手く描くことは大切ですが、
それよりも高校生でエネルギーが
有り余っているときなのだから
もっと、それを爆発させたような作品があっても
いいのになぁともぼくは感じていました。

だから、そのような作品にするのは僕たちはやめようと。

結果、ゴッホやピカソなどの作品をコラージュしたものを
50号キャンパスに写し、油絵具で描くことにしました。

決して油絵の使い方が上手いとは言えないけど、
その作品からは、彼らの若い力強さがほとばしっていました。

実際に、高文祭の会場で他の学校の生徒たちの作品の中に
並べてみると彼らの作品は「異質」でした。

しかし、ぼくは素晴らしい作品だと今でも自負しています。

大切なのは、音色つまり"スタイル"を持つこと

ドイツの現代アートシーンを眺めてみると、
上手く描けているから良いということだけではなく
その作家の音色が出ているかどうかという点は
とても重要視さているように思います。

新しい概念が生み出せているかどうか。
つまり、作家のスタイル。

それは作家だけではなく、
新しい美術の概念を 打ち立て勝負している
ギャラリーにも同じことがいえると思います。

教師冥利につくとはこういうことなのかも

高校生だった彼らと集まって、
酒を酌み交わしながら、
同じ釜の飯をつつく時間と
美術部で活動していたときの彼らの姿。

それぞれの道を歩んでいく彼らの姿を眺め
成長したなぁ微笑ましく思い、
そして、しみじみとした気持ちに。

教師冥利に尽きることは
このような時間を言うのかもしれません。

若い君たちには、自分の志を持って、
それに向けて我武者羅に行動してほしい。

周囲の目や雑音なんか気にしなくていいです。

人に迷惑をかけることでなければ、
そして自分が信じる道であれば、
何をしてもいいと思います。

願わくば、その信念を持って
「自分の音色を出せる人」になってほしい。

僕もまだ道半ばですが、彫刻家として
自分がするべきことにこれからも従事していきます。

「また鍋しましょう!」

©大黒貴之 Takayuki Daikoku

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