彫刻家の大黒貴之です。
前回の続きです。
と、その前にAmazonが構想している「空の倉庫」をご存知ですか?
上空14000mに飛行船を飛ばし、
そこからドローンで荷物を配達するシステムです。
1930年代にアメリカ軍が使っていた、小型戦闘機を
積み込んだ「空中空母」を物流に応用するアイデアです。
給油は定期的に給油機が飛び空中で補給をすることによって
物流倉庫はずっと空中に浮かび続けるという構想です。
この結び付けに驚くかもしれませんが、
日本でもクロネコヤマトの宅配便システムは吉野家のシステムと物流を
つなぎ合わせたという話は有名です。
これらの発想って、まさしく空中空母と物流のシステム
飲食と物流をつなぎ合わせた「遊び心」だと思うんですよね。
Photo credit: nubobo via VisualHunt / CC BY
子どもの頃は、何もない中であれこれ想像を膨らませて
新しい遊びを開発したり、友達と遊ぶ中で次々と発想が出てきましたよね。
つまり爆発的な想像力が子どもにはあるのです。
しかし、大人になるにつれて社会のルールに
適合していくように教育されるわけです。
誤解のないように言いますが、
なんでもありと言っているわけではありません。
社会的なルールが無いと無秩序になってしまいますからね。
そのような状態は「自由」とは言いません「混沌」といいます。
今の社会には「遊び」が必要だと以前の記事でも書いてきました。
関連記事:想像力という「遊び」の必要性。想像力が社会を形成し未来をつくる
関連記事:テレビばかり見てるとバカになるってどういうこと?想像力の回生についての考察
関連記事:なぜ芸術は必要なのか。
それは長期的な視点で物事を考える力を養える、もしくはそのヒントになるから
車のアクセルやハンドルなどにも遊びの部分があります。
この遊びがないとアクセルを少し踏んだだけで急発進して危ないからです。
つまり遊びという余裕を持たせているわけです。
同じように人も、「遊びの間」で考え、
そして想像を巡らせるわけです。
芸術というものは、一般実務や
ビジネスでは役に立つものではありません。
その意味では不必要なものです。
もちろん芸大美大以外の受験にも関係ありません。
「遊び」は不必要なものだと
世間の多くの大人たちは考えています。
しかし、前回の藤原和博氏の講演を聞いていると
「遊び」経験が少ないと21世紀型の能力がつかないといいます。
大事なのは何事もバランスなのです。
ぼくが言う「遊び」は誰にも拘束できない想像力のことです。
「あのおじさんは頭が固いなぁ」と子どもたちはボヤキます。
それはつまり既成概念でガチガチになり、
自分の想像力の外に出ることができないと
子どもたちは直観的に知っているからです。
遊びというのはボ~っとする娯楽ではありません。
(もちろんそういう娯楽も必要ですが)
要は、種々の想像ができることです。
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ということで、目の前にコップで遊んでみましょう!
(講演の中ではタイヤがお題でした♬)
今までにない新しいコップを構想してください。
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溶けるコップ
火のコップ
画鋲が全面についているコップ
底に穴が開いているコップ
持つと壊れるコップ
底が尖っているコップ
水が入らないコップ
0と1だけで出来ているコップ
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まさに「遊び」ですよね。
「遊び」をすることによって
既成概念から新しい領域へジャンプすることができ、
それが次の新しい価値にもなっていくのです。
そんな実現もしないようなことしてどうすんだ?
と言わればそうなのですが、
例えば、Amazonが開発している「空中倉庫」なんかでも、
通常上空14000mに物流倉庫を浮かべるって
通常大人たちが本気で考えるでしょうか?
つまり「遊び心」という柔軟な頭が無いとそんな発想は出てこないのです。
現代アートなんかはまさしく
よくわからんものを真剣に考えて出てきたものなのです。
いかに既成概念からジャンプさせることができるか?
かつてナインティナインの岡村隆史さんが
「芸人は不真面目なことを真面目に考え実践するのが仕事だ!」
とおっしゃっていましたが、芸術家にも共通するところがありますよ。
「現代アート?そんなよくわからんもんつくってどうすんじゃ?」
と思われがちですが、そのよくわからんものが
今、生き詰まっているアイデアの1つの突破口になるかもしれませんよ。
Alles Gute! (アレス・グーテ!)