どのような作品が現代アートとして成立するのだろうか

      2018/02/05

彫刻家の大黒貴之(@Gross_Schwarz)です。

ぼくは現代アートという芸術の1ジャンルに属した彫刻家なのですが、
このジャンルの作品は一見だけではなかなか理解できない難解な作品が多いのが実情です。

なぜかというと、現代アートは、人がすでに持っている概念を技術によって
再現するのではなく、今までの概念上にないものを提示する必要があるからです。

ですので、「富士山、まるで写真のような描写力、あぁ、きれいだなぁ」だけでは、
"現代アート作品"としては成立しないのです。

対象物を二次元に写しとって置き換えるということはもやはカメラの登場によって
そちらに置き換わっています。
それに今や誰でも写真を撮れる時代になっています。
対象物をどれだけきれいに撮るというこも大切ですが、
「何をどのように撮るのか」ということが現代アートでは重要になっています。

世界で活躍している現代アートの作家の作品を観ると
一見するとよくわからないものだらけです。

しかし、そこには何か不気味さとそしてミステリアスさが内包されているのがわかります。

この「不気味なミステリアス」というキーワードは
実はとても重要で、なぜ人は歴史や科学、宇宙、考古学などに惹かれるのか
という問いにもつながってきます。

人はすぐにわかってしまったり、理解できてしまうとつまらなく感じるのです。
何か謎めいたものがあるから、それを研究したり、
それについて思索するのです。

ギリシャ時代から脈々と流れるミステリアスな西欧美術史の上に
現代アートは成り立っています。

現代アートは、同時代性を表現しているともいわれますが、
ただ同時代なものを表現するだけでは、新聞やテレビなどの報道と
それほどかわらないように感じます。

今日、生きている人たちが見落としている概念を発見したり
もしくは言葉の外にある新しい概念を発見し、
作品という表現言語に置き換えられたものが現代アートの作品になるのです。

現代アートと日本語の表現言語で会話をすること

昨今、○○トリエンナーレや○○ヴィエンナーレなどの芸術祭が日本に増えてきましたが、
国内における現代アートのマーケットはとても脆弱だとよく聞きます。

なぜ、人が作品を買わないかというと
日本の家の構造や習慣、美術の歴史、バブル期の苦い経験などいろいろな要因が挙げられますが、
一つは、「なぜ、そのよくわからないものを買う必要があるのか?」という
とてもシンプルな原因が挙げられると僕は考えています。

基本的に人は自分がよくわからないものは買わない傾向にあります。

よく知らない人がつくった、理解できない難解な作品を
サラッと購入するようなことはそうそう多くはありません。

つまり、買う人と売る人が
共通言語を共有して
そして、買う人の心の琴線に響いたときに
初めて、ものは売れていくのだと思います。

例えば、ドイツ語しか知らない人と日本語しかしらない人が
話をしても会話が成立しません。
基本的にはどちらかが
どちらかの言葉のルール(語彙や文法)を知る必要があります。
それがコミュニケーションになって
お互いの心が通じ合っていき友人親友になっていくのです。

同じように現代アートという表現言語だけでは
会話は成立できないかもしれませんが、
(もちろん会話ができれば僕はとても嬉しいです!)
日本語という表現言語を添えることによって
リレーションシップを図ることは十分に可能だと考えています。
ただし、作品を解説するわけではなく、
作品の背景をわかりやすい言葉に翻訳することが重要です。

文章を一つの入り口として

作品一つ一つを専門的な視点で解説したり、評論することは
専門の評論家やギャラリスト、キュレーターにお任せしたいとして
文章を読むことによって、
こういう思考や体験、環境の下で作品が生み出されたのかという
発見の手がかりになるのではないかと思います。

ですので、僕の彫刻やドローイングなどと平行して
文章という表現方法でも僕の世界観を出していければ、
そして、それを入り口にして、
彫刻ドローイングを見ていただければまた違った視点で
作品をみてもらえるのではないかと思います。

ブログは今まで書き溜めた文章を加筆添削して新たに追記していきますので、
ご興味のある方は是非ご覧ください。

追伸
言葉の壁を超えたもっと深いところに
何か人類共通の何かがあると僕は思います。
その部分にリンクできる可能性があることは
芸術の本当の力であり素晴らしさだと思います。
「素晴らしい現代アートの作品は、人が持つ深く普遍的なところをくすぐる力がある」

・・・・

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