CERES Säule in the Grid / ケレス・ゾイレ・イン・ザ・グリッド
CERES Säule in the Grid / ケレス・ゾイレ・イン・ザ・グリッド
2025-26年
254×50×50cm
楠・胡粉
Photo: DAIKOKU Takayuki
“CERES Säule in the Grid” by Takayuki Daikoku (大黒 貴之). Inspired by Ceres (goddess of fertility) and “Säule” (column), this single-block wood sculpture explores the conflict between modern societal frameworks (the geometric grid) and organic vitality. The interior forms are finished with “Gofun” (traditional shell pigment). The form extending through the top of the grid symbolizes vitality breaking through societal boundaries.
タイトルの「CERES(ケレス)」はローマ神話の豊穣の女神、「Säule(ゾイレ)」はドイツ語で柱を意味します。現代社会やデジタル空間を覆う、目に見えない規則や枠組み(グリッド)。直角で構成された幾何学的なフレームは、現代を生きる私たちが直面する社会的なシステムや制約のメタファーです。しかし、その内側には、荒々しいノミ跡を残した有機的な形をしたCERESが脈打つように連なっています。生命と構造という相反する要素を「融合」あるいは「習合」という形で編集し直すことは、私たちが世界に対する新たな見方や考え方を得る機会になるのではないかと考えます。
この中に塗られているマットな柔らかい白は、能面や人形、日本画などに使用されている伝統的な顔料である「胡粉(ごふん)」が用いられています。牡蠣などの貝殻を風化させ、砕いて作られる胡粉は、いわば「かつて生命であったもの」の集積であり、その白は長い時間を経過した生命の記憶そのものです。
四角いグリッドから天に向かって突き抜けている有機的な形は、決められた枠組みに守られながらも、最終的にはその枠を自らの力で押し広げ、外部へと成長していく「生命の強さ」と「始まりの予兆」を視覚化したものです。
古来より、柱は天と地をつなぎ、空間を鎮める役割を担ってきました。天へと伸びるこの一木造りの「柱」が、物理的な空間だけでなく、見る人の心の支えとなり、新たな未来を切り拓く精神的なシンボルとして力強く存在することを願っています。
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