ABOUT

私の作品は、幼少期の自然風景の記憶、日本に根付く曖昧性や習合文化への考察、そしてドイツ滞在で培った視点を融合したものです。そこには、多様性の中にある「異質な要素の共存と調和美」を見いだすための探求が常に存在します。初期作品から使用している木を選ぶのは、その表面のひび割れや年輪、枝葉の分岐が、自然界で起こる複雑なプロセスや微かな“兆し”を象徴しているからです。手彫りによる身体的な営みを通じて、自然そのものの力強さと、人間がそこへ働きかける繊細な行為が共存する“予兆”のような状態を作品化しています。私の彫刻は、有機的な形と幾何学的構造、静止と動き、また存在感と曖昧さがせめぎ合う「両義的な状態」を生み出します。こうした状態は、まさに自然の中に潜む見えざる秩序や、調和へ向かう兆しを示唆するものです。そこには、今ここにははっきりと姿を現していない“存在の予感”が宿っています。異質な要素が共存しながらも調和を生み出す自然界の美を、私は作品を通じて“体験”として提示しています。それは、観る者が作品の中に自らの記憶や感情を投影し、「部分から全体を感じ取る」行為によって、目には見えにくい兆しや予兆を自分自身の中で生み出す試みともいえます。

大黒貴之。彫刻家。1976年滋賀県生まれ。大阪芸術大学大学院芸術制作研究科造形表現II(彫刻)修了後、ドイツに2 度に渡って滞在(ベルリン2001-03年、ブランデンブルク州ラーテノウ2011-16年)、約6年半の作家活動を行う。主な展覧会として「GARDEN」(2023)/「A Part for the Whole」(2020)/「CERES」(2018):MARUEIDO JAPAN(東京)、「野外彫刻展 -ランドアート・シュロスパーク・ヴァーゲニッツ-」(2015):ヴァーゲニッツ自然公園(ブランデンブルク州ハーフェルランド郡・ドイツ)、 「Ceres and Folded Drawing Dot」(2024)「Folded Drawings」(2018)/ 「3×SOLO -Sculpture & Carve Painting-」(2016)/ 「renmen / 連綿 ‒ 途切れることなく-」(2013):Semjon Contemporary(ベルリン)。

「FACE 2018(損保ジャパン日本興亜美術賞)」入選(2017)。ヴァーゲニッツ自然公園(2015、ブランデンブルク州ハーフェルランド郡・ドイツ)、 ダラスの私邸(2020、米国テキサス州)、 KYOTOWAND(2022、京都)にコミッションワークとして作品を納品。 Asia Society Japan主催「Art for Breakfast」にて講演 (2022、国際文化会館・東京)。

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