BLOG

ブログ

作家活動のこと

アートと情熱: 彫刻家の旅路と個展案内状の進化

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 展覧会の開催に当たって、ほとんどの場合、案内状、いわゆるDMを作ります。まだ学生だった2000年、大阪天満橋にある貸画廊で3万円ほどの賃料を払って半企画的な個展を開催しました。今日では自分でデータを作成して、デジタルデータのままメールなどで案内状...

展覧会

自然と芸術の融合:「GARDEN」展に見る生命の循環と日本の美学

個展「GARDEN」序文 イギリスのメン・アン・トール遺跡は「穴の開いた石」という意味で知られ、花崗岩で形成された柱と穴がコーンウォール州の草原の中に佇んでいます。彫刻家、アントニー・ゴームリー⽒は、彼の著書「彫刻の歴史 先史時代から現代まで」で、この遺跡の柱を男性の象徴、穴を女性の象徴として捉え、潜在的な...

思考する

部分から全体へ:「Coil/巻1999」の制作から見る彫刻家の表現言語の形成

1999年3月頃。大学卒業展で制作した作品「Coil/巻1999」という作品です。5月に京都五条のKYOTOWANDで開催された個展の付随イベントのアーティストトークでこれまでの彫刻家としての軌跡を対談しました。私の作品には、全体を通して共通項のようなものがあって、それは「部分の集合によって、全体が成り立っ...

人生論

自己表現と批判的思考: 日独比較から学ぶ価値観の形成と芸術鑑賞の力

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 日本人は、自分を世間体に合わせる傾向があると多くの人がすでに以前から指摘しています。私が6年以上生活をしていたドイツでも社会の雰囲気やメディア、家庭環境によって価値観が形成されています。 しかし、ドイツ人は一人ひとり意見を持って主張しているように...

作家活動のこと

大黒貴之がベルリンのギャラリーで開催した個展:「連綿 -途切れることなく-」

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 2011年にドイツへ渡ってから約1年半後、ベルリンのセミヨン・コンテンポラリーで個展を開催することができました。 現地の環境、文化、デザインなどが近江の自然の影響を受けた有機的な彫刻フォルムに上書きされ、私の作品は、論理的、数学的な美を取り入れた...

彫刻

コミッションワーク(アート委託制作)の実例 1:ドイツ、ハーフェルランド郡からの依頼

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 これまでに依頼を受けたコミッションワークの実例を紹介します。今回は、ドイツ、ブランデンブルグ州ハーフェルランド郡から依頼で制作をした木彫作品「Wood Cell / ウッド・セル」という作品です。           この投稿をInstagram...

アートのお話

アーティストのセルフブランディングについて考える:誰がアート作品に価値を付けていくのか

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 「だいこくさんもね、自分で自分の作品の評論をすればいいんだよ」 いつの日だったか、現代アートの評論家と名乗る人からそのように言われたことがあります。じゃあ、アート界の評論家の仕事とは一体なんなのだろう?と考えたことがありました。ごく稀にアーティス...

3×SOLO TAKAYUKI DAIKOKU berlin-01
アートのお話

コマーシャルギャラリーと貸画廊:日本の貸画廊システムとその背景を眺める

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 現代アートのアーティストは制作した作品をどのように発表していくのでしょうか? 一つはギャラリーという場所で展覧会を実施して発表すること。ギャラリーがアートフェアに参加することが挙げられます。他にも発表の場として、美術館やレジデンス、自主企画などい...

現代社会

人工知能とアート:芸術は最後の砦?人工知能が私たちの社会にもたらすインパクト 

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。  現代アートの父と言われているマルセル・デュシャンはかつて飛行機を前にして、同席していた芸術家たちに「諸君、これでアートの世界は終わったよ」と言いました。 芸術家でもあり、発明家でもあったダ・ヴィンチやデュシャンたちが、もしスマホやインターネット...

礎 No.2 "Foundation No.2", 2000, H190×W330×D120(cm) 木・荒縄・布・彩色 Holz, Strohseil, Stoff, farbung ; Foto Takayuki Daikoku
作家活動のこと

日本のギャラリーで初個展をした大阪天満橋での思い出:苛立ち、嬉しさ、むず痒さ

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 私が初めて個展を開催したのは、23歳の時でした。大阪、天満橋のギャラリーで個展をしたのは2000年3月でした。確か、2週間の展示で3万円ほどを支払い、展覧会を開催したのを覚えています。ビルの9階にある小さな一室で、いわゆる貸画廊というレンタルスペ...

人生論

心配や不安を消す方法:身体を動かし、呼吸を感じ、目の前の今の出来事に意識を向けること

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 人と動植物の決定的な違いは、「想像力、つまり概念を創り出すことができるかどうか」ということではないでしょうか。 ユヴァル・ノア・ハラリ氏著作の「サピエンス全史」によれば、人間のみが持っている概念は「言葉」と「数字」だと言います。言葉と数字によって...

人生論

運気を上げるには根気が必要、そして根気はある程度の○○さが必要

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 「運根鈍」という言葉を何かで読んだ記憶があります。運気を上げるには根気が必要、そして根気はある程度の鈍感さが必要だと。 結局は、最後までそのフィールドに残った者が生き残ることになります。外野の人は好き勝手にいろんなことを言いますが、そんなことはど...

アートのお話

アート鑑賞のコツと重要性:芸術作品を鑑賞することはなぜこれから大切になってくるのか?

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 私たちは「アート」や「アーティスト」という言葉をよく聞いたり、使ったりします。しかし、アート作品をどのように鑑賞すればよいのか、学校の授業で習う機会は少なかったのはないかと思います。公立中学校では3年間を通して美術授業がありますが、高校になると、...

人生論

カルロ・ロヴェッリ氏著「時間は存在しない」と仏教の縁起:我と他者との関係性の間に発生するエネルギー

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 私たちが生活を営む世界は、果たしてどのように形成されているのでしょうか。地図上で見れば、それぞれの国が国境を定めて、それにしたがって人々は飛行機や自動車、電車等で行き来しています。しかし、国や社会というものは目に見えないものです。普段、なんとなく...