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彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。 

現代アートの父と言われているマルセル・デュシャンはかつて飛行機を前にして、同席していた芸術家たちに「諸君、これでアートの世界は終わったよ」と言いました。

芸術家でもあり、発明家でもあったダ・ヴィンチやデュシャンたちが、もしスマホやインターネット、AI(人工知能)前にしたならはたして何と言うのでしょう。21世紀に突入して20年以上が過ぎました。世界は大きなパラダイムシフトの真っ最中にいるようです

松本徹三氏、著書の「AIが神になる日」によると、AIに対して、人類の最後の砦は、「芸術」と「哲学」だといいます。はたして、このAIは私たちの社会をどのように変えていくのでしょうか。

以前、IBM社が開発したWatson(ワトソン)というコンピューターと俳優の渡辺謙さんが会話をしている動画を見たことがあります。渡辺謙さんの言葉に対してワトソンは瞬時に反応し、彼とコミュニケーションしています。そして、最後のセリフが「女優にもなれますか?」

IBM-ワトソン コグニティブ / 認識知-自ら思考できる


IBM社はワトソンを人工知能とは言わずに

自然言語を理解・学習し人間の意思決定を支援する
『コグニティブ・コンピューティング・システム
(Cognitive Computing System)』と定義しています。

つまり、人と同じように言葉を理解、学習し、自分の答えを出すということができるコンピューターです。そして、ワトソンと他の人工知能が違うところは最終決定をするということではなく
あくまでも、意思決定のアドバイスをするということです。

ワトソンが、一躍有名になったのは、2009年4月に米国の人気クイズ番組「ジェパディ!」です。司会者が出した質問を理解して、インターネットがつながっていない状態で思考し、次々と回答を行ったのです。そして、人のチャンピオンに勝った。それまでは、プログラミングというあらかじめ人が設定したようにしか動かなかったコンピューターが自ら思考し、答えを導き出したことは画期的なことでした。

人工知能は、将棋、囲碁界でも人に勝っている、そして小説界でも

ワトソンは、コグニティブ・システムと言われていますが、いわゆるビッグデータを元に思考し、最適な答えを出すコンピューターのことは、一般的に人工知能(AI)と呼ばれています。人工知能を搭載したコンピューターは、すでにチェスや将棋、囲碁の対決での勝率はいずれもプロに勝っています。

最近では、こだて未来大学のチームが、短編小説を学習させたコンピューターに小説を書かせて公募展の一次審査にパスしたというニュースが流れました。

30年前、あなたは想像できましたか?非常識が常識になるとき

人工知能-02
今からさかのぼることは、100年前にライト兄弟が空を初めて飛びました。現在では、当たり前のように飛行機が空を飛び交い、そして宇宙にまで人類は行くことができています。しかし、「人が空など飛べるわけない」と誰もが思ってた時代がつい100年ほど前にはあったのです。

考えてみてください。

阪神タイガースが優勝した今から約30年前の1985年当時、パーソナルコンピューターの登場やインターネットという世界中がつながったヴァーチャル世界が登場すること、そして、電話はもちろん、インターネットもできるスマートフォンという小さなパーソナルコンピューターを誰もが持つ時代など想像できましたか?

ワトソンは日本語も学習し、ついに提供が始まった

人工知能-03
2016年2月にワトソンは日本語が理解できるようになり、IBMとソフトバンクが日本語版ワトソンを提供開始しました。2015年の秋には、みずほ銀行や三井住友銀行の電話オペレーター補助として導入されています。今は、まだ電話のやりとりはオペレーターが担っています。しかし、質問者の音声を理解して、いくつかの最適な答えを導き出しているのはワトソンです。

そして、その答えをオペレーターが読み上げるようになっているそうです。このままさらに日本語の学習し続けていけば、オペレーターはいなくなり電話の対応は全てワトソンが担うことになるでしょう。

AI-人工知能、今後15年の将来予想 ロボットの共存がやってくる?

人工知能-04
ソフトバンクは、2014年にワトソンとつながった、感情理解ができるペッパーというロボットも提供しています。ペッパーも言葉や映像などから得た情報を分析して、日に日に、ユーザーにとって最適な行動をとるようになっていくでしょう。すでにいくつかの企業で、ペッパーの導入が開始されています。いずれは、各家庭にもペッパーのような人工知能を搭載したロボットが置かれるようになってくると予想されます。

また、車の自動運転や農業の自動化、さらには、家事や介護、翻訳、さらにはホワイトカラー支援などがこの15年くらいの間でできるようになるといわれています。今はまだ、コンピューターの自動運転?ロボットの家事や介護サービス?なんて言われるかもしれませんが、人は一度その便利さを味わうと元には戻ることはそうそうできません。

シンギュラリティの問題 人間とロボットの決定的な違いとは?

そして、今はまだ人が担っている仕事のいくつかは人工知能が携わることになっていくでしょう。このまま、人工知能が学習していけば、今から30年後には全人類の知識を上回ると予測される2045年問題も浮上してきています。ホーキンス博士やビル・ゲイツ氏をはじめとする知識人たちが、それに対して警鐘を鳴らしていることも事実です。

しかし、感情や心を持ったドラえもんのような家庭用教育ロボットが登場するのは難しいとも言われています。なぜなら、知識を持つことや学習することは覚えても、人が持つ「心と呼ばれる何か」をコンピューターが獲得することは非常に難しいと考えられているからです。

人工知能の普及によって、学校教育も変わる必要がある

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一方でデータベースを元にして、それを情報処理し、最適な答えを導き出すことはコンピューターが最も得意とすることです。人工知能がこれから社会に浸透するにつれて、情緒や感情といった人の心に関する知識や職業が今後、ますます重要になってくると推測されます。

日本で主に行われている暗記、情報処理型の学校教育も今後、見直しをしていかなければならなくなってくると思います。

まだ黎明期ではあるが・・・近い将来、人工知能は日常的になる

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実際にどのように人間社会に浸透していくのかまたどのように人が人工知能と連携していくか。まだまだ不透明な部分があります。しかし、私は、この人工知能(AI)が人間社会にもたらすインパクトはとても大きいと思います。

おそらく芸術界や現代アートにも影響してくるでしょう。

実際に、アメリカでは、人が作曲した音楽と人工知能が作曲した音楽を人は区別できないとの実験結果が出ていますし、商業ベースの音楽業界では、すでに、人工知能が導入され始めているようです。他の芸術界の人たちも、いずれは人工知能と一緒に仕事をする日がそう遠くない将来にやってくるかもしません。


参考書籍



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