現代アートは現代社会に生きるアーティストたちがつくったアート
彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です。
「アート?なんかよくわからん!」という言葉は耳にタコができるくらい聞きました。美術という教科は、高校なると1週間に2時間ほどですし、学校によってはほとんどカリキュラムに入っていません。ですので「わからん!」となるのもよく理解できます。現代アートは、英語で書くとContemporary Art(コンテンポラリーアート)と書きます。コンテンポラリーというのは「同時代(人)の」「現代の」という意味です。コンテンポラリーアートをドイツ語で書くとZeitgenössische Kunst(ツァイトゲネジッシュ・クンスト)という少し難しい発音になります。
Zeit(ツァイト)が時間や時代、genössische(ゲネジッシュ)はGenosse(ゲノッセ)という単語の形容詞でGenosseは「同士」とか「仲間」という意味があります。そしてkunst(クンスト)は「芸術」「美術」です。
よって現代アートは「現代社会に生きる作家たちがつくったアート(芸術)」という意味になります。
Photo via Antranias via Visual hunt
歴史、文化、経済、芸術など全てはつながっている
現代アート作品は「それらの現象が一度作家のフィルターでろ過された後に可視化されたもの」だと言えるでしょう。現代社会に巻き起こっていることは歴史や文化などの縦軸と現代に生きる人たちの心の作用によって現れてきているので、それらを紐解いていくのはとても興味深いものです。
今の時代はもはや世界中を資本主義が圧巻しています。ということは、現代アートも資本主義の中に飲み込まれている(もしくは、飲み込まれていく)といっても過言ではありません。要するに、アートだけが単体でポツリとあるんじゃなくて世の中のことは全てつながっているのです。一方で、歴史を辿ってみると世の中に変化の兆しを生み出してきたのは「異質な存在」だった言えるでしょう。つまり、それまでの常識を反転させるようなことをした人たちが歴史上に残っているわけです。
現代アートの重要なポイントの1つは「圧倒的な異質性」だと考えます。
現代アートだけで社会がひっくり返ることはありませんが、その異質性は社会の歪を具現化したようなものではないかと考えています。何も経済や宗教、哲学などの分野のエキスパートになる必要はないのですが、それぞれの要点を抑えておくことでも全体的な構造がぼんやりとでも見えてきます。私がこうして文章を書いているのは、自分の考えが整理できることもありますし、縦線と横線がリンクしていることを確認できたり、また彫刻を制作する上での新しいイメージを発見できる機会にもなるからです。また、作品を見るだけではわからなくても対話を通じて「わからん!」から「なんとなく理解できるようになったわ」への変化が少しでも起これば嬉しく思います。
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