部分から全体へ:「Coil/巻1999」の制作から見る彫刻家の表現言語の形成
1999年3月頃。大学卒業展で制作した作品「Coil/巻1999」という作品です。5月に京都五条のKYOTOWANDで開催された個展の付随イベントのアーティストトークでこれまでの彫刻家としての軌跡を対談しました。私の作品には、全体を通して共通項のようなものがあって、それは「部分の集合によって、全体が成り立っている」ということです。
2011年に2回目のドイツ移住をしたのですが、アーティストトークでは主にドイツで制作した作品をスライドショーに乗せて説明をしていたところ、視聴者のお一人が「部分の集合によって作品全体が成っているという傾向は、この「Coil/巻」を制作した頃からすでにあったのではないでしょうか?」というご指摘をいただいた。
私は、その質問を受けて、作家の表現言語というものは実は作品制作を始めた初期段階で大方決まっているのかもしれないと思いました。もっと言うと、18歳くらいまでの成長プロセスの中で思考や対象の見方などの大半は形成されているのかもしれない。そう感じた刹那でした。
その意味でも、この作品は彫刻家としてのスタートだったのかもしれません。
今はもう写真でしか思い返すことができない作品です。
「Coil/巻 1999」
1999
H350×W300×D270cm
木・荒縄/wood- straw rope
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。