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彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です

芸術はよくわからないという言葉をよく聞きます。一方で、音楽や漫才、漫画アニメは多くの人たちは、自分の好き嫌いを持っていてあのバンドの新曲いいよね~とかあの漫才の漫才、サイコー、この服、オシャレだねと言って自分に合ったものを選択しています。

なぜそのような判断を自分で下して、その音楽を聞いたり、服を着てみたりするのでしょうか。

答えは簡単で、それを見る聞く経験を子どものころから数多くしてきているからです。

日本の公立中学校は義務教育で、1年生から3年生まで美術授業がありますが、高校になると、いわゆる「音美書」は選択授業となります。中には3年間一度もそれらの芸術教科を受けずに学校を卒業していく生徒も出てきます。社会人になって多くの大人がアートについて語るとき、アート作品というものは、よく理解できないものであり、時間やお金を持った人たちのものであり、自分たちには関係ないものだと思われがちです。なぜなら、アート作品をつくったり、購入して自宅やオフィスに展示することで、お金を生み出すわけでもありませんし、病気が治ったり、生活が便利になるわけでもないからです。つまり、多く人たちにとって、アートは実用性がないものだと思われる傾向にあります。そして、実際アートには実用性は兼ね備えられていません。

なぜ、多くの日本人にとってアートは遠い存在になっているのでしょうか?

その原因の一つとしては、圧倒的に「鑑賞」という経験が少ないことが挙げられます。


Photo by Sara Darcaj on Unsplash

アート作品がよくわからないのは、アートを鑑賞するという経験が少ないだけ

しかし、多くの人たちは、テレビ、ラジオ、雑誌、インターネットなどのメディアを通じて、その情報が手元に届き、そして、体験をします。ファンならば、舞台やコンサートにも出かけて生の雰囲気を体験します。その体験の中で無意識にうちに他と比較をして自分に合ったものを選んでいるのです。料理やファッション、車など全てにおいてそうなのだと思います。私がドイツに滞在していたころ、よくベルリンに出かけました。ベルリンには、数多くのギャラリーや美術館、アートイベントがあり、それらの現代アート情報は雑誌や新聞などを通じてたくさん発信される環境になっています。現代アートと言っても鑑賞者にその概念がなければ、それはわからないということになるのは当然なのです。

自身もある分野に関してその知識や経験、そして、その概念がなければそれは全くわかりません。ですので、「現代アート?うーんよくわからない!」というのはその情報を得て、鑑賞する経験が無いだけということになります。その経験が日常にあれば、「あの作品いいね」とか「面白いね」とか、また当然のように「つまらないね」という評価を自分で下せるようになっていくでしょうし、気に入った作品を買うという行動にもなると思います。最も良いアートを鑑賞する体験は、実際にアート作品を購入して、自分の部屋や会社のオフィスなどに展示し、いつでも見れる環境をつくることです。それは、何十万円、何百万もする高額な作品でなくても、数万円からの作品で十分な鑑賞体験になります。



↑「鑑賞」という経験が少なすぎる日本の美術教育の中で、
今なぜ「アート思考」という言葉がビジネスの世界で言われ始めているのでしょうか。
アート鑑賞の重要性を考えます。 



 

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