BLOG

ブログ

彫刻家の大黒貴之(@takayuki_daikoku)です

河原温(かわら おん 1932-2014)という日本人作家がいました。

国際的に高い評価を受けている現代アートの作家です。


Photo credit: nobihaya via Visual hunt / CC BY

存在するとはどういうことなのか?リアルとヴァーチャルの間で

河原さんは1959年に日本を離れ、欧米などに滞在し、65年頃からニューヨークを拠点にして活動を始めました。彼の活動の特徴は「自身の姿は表に出さない」という姿勢が徹底されていたことです。日付だけをペインティングした作品、起床時間のみを書いた絵ハガキを旅先から友人に送る作品、或いは、電報や手紙で「I am still alive」と記載して送付した作品など。

作品は世界各地のギャラリーや美術館などで展示されてますが作家自身の存在は、ほとんど誰も確認できなかったそうです。時間や存在という深いテーマを扱い、最後までミステリーに包まれた作家、河原温さん。今日では、インターネットが自明的に使わるようになり手紙や電報などの使用頻度はめっきり少なくなりました。インターネット上にはたくさんのSNSが登場し、リアル社会では出会うことがなかった人たちの存在を知ることができるようになりました。

しかし、彼女/彼の存在は、実際にお会いして顔を見て、声を聞き、話をすることで、初めて確認できるのだと思います。私の存在も本当にあるのかどうか、パソコンやスマホなどのインターフェース上だけでは確実には確認できないわけであります。一方で、友人知人は、私がSNSを更新することで、「大黒はまだ活動しているのだな」と思うもまた確かなことです。

ヴァーチャルや人工知能などのテクノロジーが普及すればするほど、リアル世界での生の交流がより大切になってくるのだろうと思います。現代の文明の利器をうまく取り入れながらこの時代を楽しみたいなと私は思っています。


関連記事


↑ドナルド・ジャッドが切り開いたミニマルアートのお話です。


↑現代アートの父と言われるマルセル・デュシャン。
便器にしか見えない彼の代表作である「泉」。
その作品は、一体何を意味するのでしょうか?


↑ジャクソン・ポロックのドリッピング技法から抽象絵画が生まれたお話です。


↑アートをぶっ壊す反芸術、ネオダダのお話。


↑アンディ・ウォーホールは今では多くの人が知るアーティストとなりました。世界を圧巻したポップアートのお話。


↑今や現代アートの世界では日常となっているコンセプチュアルアート。
コンセプトとアートの関係を紐解いてみました。


↑クリストは、彼は奥さんのジャン・クロード(1935-2009)と
一緒に活動を続けてきました。布でいろんなものを梱包するアーティストのお話。


関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。